dmoz エディタ日記 - ODP (Open Directory Project) 日本語階層 -9ページ目

犬種 - その2

続きは翌日、と書いておきながら3日経ってしまいました。これ、詳しく話そうとするとそうとうややこしくなることに気づいた…

前に書いたように、「犬種」とは、プードルやダックスフントといった、犬の種類のことを指す言葉です。猫のカテゴリでは「猫種」という言葉がないため種類 というカテゴリ名を使っていますが、これは「品種」でもよかったでしょう。
犬種 カテゴリの「ほかの言語でのこのカテゴリ」のセクションを見ると、英語階層の対応するカテゴリが"Breeds"という言葉を使っていること、そして他のヨーロッパの主要言語が、英語の"Races"に相当する言葉(ドイツ語階層では"Rassen"、フランス語階層では"Races"、など)を使っていることがわかります。面白い。
要するに、これは「血統」なのです。日本語だと「犬種/品種」、「ブリーダー」、「血統」といった概念の関係がわかりにくくなっているけれども、これらは英語ではすべて"breed"という言葉を中心に回っている。「犬種」とは、突き詰めれば、高い値段の犬を買うとついてくる「血統」書に書かれているあの家系図(pedigree)の総和のことであり、それを(また、付属品として生体を)売ることによって収入を得ているのが「ブリーダー」である。では、この人工的な家系図の体系を構築・維持している黒幕は誰なのか? それは、数々の同業者団体です。

話が怪しげな方向に向かいつつありますが、「そんな人工的な区分に惑わされずに、もっと一頭一頭の犬を愛そう! 私は雑種が好きだ!」みたいなアナーキズムに走らずに、むしろ現実世界の構造を客観的に分析し、カテゴリ構造に反映させようと努力するのがODPエディタなわけです。

日本においてもっとも権威のある団体はジャパンケネルクラブ (JKC) ですが、世界に目を向ければ、他にヨーロッパ大陸のFCI (Federation Cynologique Internationale) 、アメリカ合衆国のAKC (American Kennel Club) 、英国のKC (Kennel Club) といった有名どころがあります。
このそれぞれが、個々の犬種を定義するさまざまな基準(スタンダードと呼ばれます)を決め、それに合致した犬に対して血統書を発行することによってお金を得ています。「血統書」という言葉はある血統に属する個体全員に与えられるものというような印象を与えるかもしれませんが、もちろんそうではなく、各団体が決めたスタンダード(体の大きさなどを含むさまざまな条件)を満たしているから、その犬種に属すると認定された個体に対して与えられる認定書です。そして日本のJKCは、犬種の定義・分類については、世界の犬 というページを見るとわかるように、FCIの分類をべースにしています。
ODPエディタにとっての問題は、この分類体系が、米国AKCの分類体系 とかなり違うということです。どちらを採用するべきでしょうか? あるいは独自の道を行く?
続きはまた後日。

やるなら今がお得だよ

マルチ勧誘のお兄さんと同じだとywadさんに笑われてしまいました が、私は本気です(笑)

このプロジェクトの特に分類に関する部分は誰にとっても面白いと言うわけではないかもしれませんが、「ある種」の人にとってはとても面白い。ある種ってどんな種だ、と言われるとちょっと困るのだけれど、そう、とりあえずエディタ度チェック をしてみましょう。高いほど「ある種」の人かもしれません。想像するにアクティブなエディタはかなりエディタ度が高いはず。隠していても私にはわかる~~

で、正直な話、カテゴリの再編や話題の細分化を行っているとき、こんな楽しい作業を私がやっちゃっていいの? という気持ちになったことが何度かあります。そして、この話題を扱うのにもっとふさわしい人がいるのではないの? という気持ちも。

まあ、この喜びを出来るだけ多くの方と分かちあいたい、といったところでしょうか。

犬種!?

犬の種類をどう分類するべきか。犬種 カテゴリの話です。

これは「World/Japanese/レクリエーション/ペット/犬/犬種」という場所にあり、「プードル」とか「ダックスフンド」など、特定の種類の犬を扱ったサイトを扱うさまざまな犬種カテゴリの置き場所となります。

犬種の数はとても多く、この「犬種」カテゴリ直下にだらだらと並べるわけにはいきません。何らかの階層構造を持たせて整理してやる必要があります。「犬種/小さい犬/プードル」とか「犬種/ユーモラスな顔をしている犬/ブルドッグ」とか「犬種/耳が大きい犬/パピヨン」みたいな適当な分類のしかたをするわけにはいかないので、何らかの客観的な基準を用いなくてはならないでしょう。

では、どうするべきなのか?


日本語階層のODPエディタたちが議論の末に至った結論は、実際のカテゴリ構造の形で現れています。その背後にはどんなロジックがあったのか? 続きは翌日ということで。


ユニークなコンテンツを網羅的に集める

yobesukeさんの6/8付の記事の最後の行、「ODPは今だからこそ面白い、ということができるのです」を見て思わず笑ってしまいました。つい先日の、喫茶店の隣の席から聞こえてきたネットワーク・ビジネスの勧誘の文句を思い出したからです。元気よさそうなお兄さんが、若い女性2人を相手に、ピラミッド構造の絵が描かれた資料を見せながら、「いま始めないと後悔するよ」と弁舌爽やかに売り込んでいました。

ところで、ODPではMLMの販売員のサイトは掲載しないことになっています。「MLM」や「ネットワーク・ビジネス」いう言葉を聞いたことがない人は幸せですが、インターネットのおかげでそういう人も手軽に実態をかいま見ることができるようになりました。Googleでハーバライフ とかアムウェイ などのキーワードで検索すればよろしい。要するに、これらの商品を自ら売るだけでなく、新たな販売員をリクルートすると、その人と、その人が後に開拓した子、さらには孫・ひ孫とその子孫すべてが上げた売上げの一定の割合が収入になる、というようなビジネス・モデルです。

これらのビジネスの販売員のサイトを掲載しないというポリシーは、ガイドラインのアフィリエイト・マーケティング のセクションに記述されています。このセクションは、ここ最近のアフィリエイト・ブームのはるか前に書かれたものなので、インターネットの世界の現状から少しずれている面があるかもしれませんが、「ODPがこれらのサイトを掲載しない理由」のセクションに書かれた次の宣言は重要です。すなわち:


このビジネス・モデルが嫌いだというわけではありません。 コンテンツが同一である、または重複していることが問題なのです。


MLMやネットワーク・ビジネスが、それに関わる者の人間関係を破壊するなどの社会問題を抱えていて、一般に評判が悪いのは事実ですが、世の中のウェブサイトを中立な立場から収集するという目標を掲げているODPは、原則としてそのような世評を気にしません。しかし、MLMの販売員のサイトは掲載しない。それは、それらのサイトに一般にユニークなコンテンツがないからだ、というわけです。


このポリシーから、逆に、ODPがどのようなディレクトリを作ろうとしているかがわかります。つまり、ユニークなコンテンツを網羅したディレクトリということです。ユーザーがあるカテゴリに行ったとき、そのカテゴリのトピックに属するユニークなコンテンツを提供しているウェブサイトがなるべくたくさん見つかるようにしたいのです。

何をユニークな情報とみなして掲載していくかは、それぞれのカテゴリによって異なります。たとえば、日本語階層にはまだできていないので、英語階層のカテゴリを引き合いに出しますと、元素の周期表を扱う Science/Chemistry/Periodic_Table 。その本質からいって、ユニークな周期表なるものは存在しえませんが、インターネット上で周期表を見たいというユーザーのために、いろいろなレイアウトや補足情報や追加機能を持つ周期表のサイトを収集しています。

その反対の極の例として、MLMの販売員が提供している商品情報は、一律にユニークさがないとみなし、ディレクトリから完全に排除しているのはすでに述べたとおりです。


ロボット型の全文検索エンジンがどのまで強力になれるか、人の手で分類するディレクトリは果たして対抗できるのか、という議論はいろいろなレベルで可能ですが、コンテンツのユニークさをどこまで判別できるか、するべきかは、最も重要な切り口の1つであると私は思っています。

トピカルな分類


先にディレクトリの構築はおもしろいと書きましたが、ただ天真爛漫に“一見”同じに見えるグループのカテゴリをどんどん作成していっていいわけではありません。ODPの分類にはいくつかの決まり、というか約束があります。

その一つが“トピカル”に分類すること。
サイトを分類するとき、いくつかの切り口が出てきます。
その分野の中でどの切り口を一番優先するのか、その一番優先される切り口が“トピカル”な分類です。

と言っても具体的な例がないとわかりにくいかもしれません。

例えばスポーツの団体。
World/Japanese/スポーツ/団体/ というカテゴリがありますが、ほとんどのサイトの実体はここにはなく、@リンクで結ばれ実体はそれぞれ 「(競技名)/団体」にあります。
それは、スポーツ階層では競技による分類が最もトピカルであると考えられているからです。
「スポーツ/団体」直下には競技の分類が出来ない団体と、競技名のカテゴリのない団体が掲載される事になります。

「スポーツ/団体」のようにトピカルな切り口と2次的な切り口がきれいに分かれるものはわかりやすいですが、そうでない場合もとても多い。
それがエディタが最も頭を悩ませる場面であり、また最も楽しい場面でもあります。

ODPの分類の考え方についてこれからも具体的な例を挙げて解説していきたいと思っています。


ディレクトリの構築はおもしろい

W/J直下の大カテゴリは場所によりかなり整備されてきてるところもありますが、その状態にはまだまだばらつきがあります。
さらに階層の奥深くに入っていくと未整備の場所もたくさんあります。
今のシニアエディタがODPに入った頃は日本語階層全体が原野のような状態でした。その後の多くのエディタの尽力で、「かなりいい」「ちょっと自慢できる」と思える場所が増えてきています。しかし原野が開拓され、区画整理はされたけれど入植者待ちという場所もたくさんあります。
まだ原野も所々残っています

でも、誰も手をつけていないからこそ面白い、誰かが完璧に整備した後だったら、エディタに残されている仕事はサイト追加とメンテナンスです。もちろんこれはエディタにとって重要な仕事であり、網羅されたディレクトリであり続けるためにはカテゴリの状態を常に最新に保っておかねばなりません。
新しくエディタになられる方にいきなり原野を担当して頂いたり、大きな入植地の管理をお願いしたりすることは出来ませんが、その周辺の安定したカテゴリを選んでいただき、徐々に担当の範囲を広げて最終的に大きめのカテゴリを担当して整備するということはそれほど難しい事ではありません。

ディレクトリは常に進化し、サイトは更新されています。また、ywadさんも言っているようにウェブサイトの命ははかない。しかし論理的に組み立てられたカテゴリ構造は長持ちします。
そしてこのディレクトリの構築という作業は、かなり知的な遊びでもあります。
ODPは今だからこそ面白い、ということができるのです。

作業が無駄にならない?

エディタになるべき人 の項で、「仮に自分が力尽きても……作業が無駄にならない」と書きました。

以前から気づいてはいたけれども、ODPエディタになって強烈に意識するようになったことに、ウェブサイトの寿命の短さがあります。日記を書き始めてみたが1か月で力尽きたとか、倒産や合併のせいで企業の公式サイトが消えたというようなケースはしかたがないとしても、多大な労力を費やして作られた、ユーザーにとって有益な情報を提供しているサイトがあっさりと消えてしまうのを見るのはとても悲しいことです。Internet Archive や、全文検索エンジンのロボットがサイトを巡回して収集しているはずのコンテンツの記録をどう活用していけるのか、今後の大きな課題になっていくでしょう。

ODPが提供しているdmoz.org も、1つのウェブサイトにほかなりません。そしてODPは、最初から、プロジェクトが存続し、dmoz.orgを含む成果物を恒常的に提供しつづけられるように、いろいろな仕掛けを組み込んでいます。その1つが、大勢のエディタが共同作業を通してディレクトリを作っていく、というモデルです。

個々のエディタは最初からディレクトリ全体を編集できるわけではなく、経験を積みながら徐々に編集範囲を拡大していくのですが、いずれにせよ、ODPは各エディタがそれぞれの専用のスペース(カテゴリ)を割り当てられてそこで単独で作業をするというようなものではなく、そのカテゴリの編集権限を持つすべてのエディタが共同で編集を行うというモデルを採用しています。

だから、あるエディタが急にインターネットへの関心をなくしてプロジェクトを去ったとしても、その人が行ってきた作業は残った人々が引き継ぎます。個々のサイトにつけた説明文は、他の人によって変更されたり、サイト自体がなくなったりして消えてしまうかもしれませんが、その人が行ってきた編集作業の痕跡は何かしら残るでしょう。また、その人が作ったカテゴリ構造はもっと長持ちするはずです。たとえば「物理学」とか「ボクシング」とか「犬」といったカテゴリは、ODPが存続する限り、ずっと存在を続けるに違いありません。


もちろん、ODP自体がいつまで存在を続けるかは誰にもわかりません。私は、インターネット上に存在するさまざまなプロジェクト/サイトのなかで、ODPの予想される寿命はそうとう長い部類に属すると思っていますが、何の保証があるわけでもない。しかし、何かしらインターネット上の公共性の高いプロジェクトに関わってみたいと思っている人にとって、ODPはその安定性という観点からも、魅力的な選択肢の1つであるとは言えます。


エディタになるべき人

yobesukeさんが5//27に妙なチェックリスト を作ってますが、私も、エントリ1つだけのチェックリストを。それは…


● 自分のサイトでリンク集を作っている。


検索エンジンでの表示順位を上げるための「相互リンク集」とか、広告やアフィリエイト・リンクを置くページを作るのが目的のディレクトリのことではないですよ。また、誰もがどんなサイトでも勝手に追加できる登録型リンク集を置いているだけの人の話をしているわけでもありません。

何か特定のトピックに関心があって、純粋に他のインターネット・ユーザーのために、そのトピックに関係のあるサイトのリストを提供している人のことです。

そういう人には、ODPへの参加を勧めやすい。なんせ、そういうリンク集を作ることに意味がある、というところから説明しなくていいから(世の中には、そんなものには意味がない、または少なくとも自分がそういうものを作る気はない、という人の方がずっと多いはず)。


じゃあ、なぜODPに参加するといいか。それはなによりもディレクトリが死にやすいから です。誰もが作成者だけでなくユーザーの立場でもあるんだから、リンク集/ディレクトリがとても死にやすいこと、自分が作っているこのリンク集も、ちょっと手を抜くと、すぐにだめになってしまうことはよくわかっているでしょう。

そこで、ODPです。あなたが自分のサイトでリンク集を作る手間を、ODPのdmoz.org にかけてやれば、仮に自分が力尽きても、他の誰かが後を継いでくれます。それまでの作業が無駄になりません。


問題は、大きなプロジェクトの一部としての作業になるから、ひとりでやっていたときのように勝手気ままに説明文を付けたりすることはできず、ODPガイドライン を含むいくつかの決まりに従わなくてはならないこと。それから、「このリンク集は私が1人で作ったものです」と言えなくなること。ODPでは、カテゴリは誰の所有物でもなく、そこに編集権限を持つ人が誰でも編集できるので。

これに折り合いがつけられるのなら、ODPエディタになることをお勧めできます。

世界の中の日本

W/Jは日本階層であり日本階層ではないと書きましたが、日本語で書かれている以上、日本についての情報が非常に多い。それ故、色濃く「日本」という属性を背景に持っています。
例えばビジネス階層は日本に限らず世界のビジネスについての情報を掲載しますが、日本語で書かれている以上その多くが日本のビジネス、企業についての情報です。
これを日本人による日本人のための日本語で書かれた日本に所在する企業のサイトであるという理由で全て地域階層に送ってしまえ、ということになればビジネス階層はかなりの空洞化を起こします。
そういった教条主義をとるよりは日本語で書かれたサイトには必然的に日本についての情報が多いと言うことをメリットと考え、話題別階層にも多くの日本の情報がのせられています。その中で常に「世界の中の日本」を意識したカテゴリ作りが行われています。
また、地域階層と他の話題別階層(「家庭」「ビジネス」「アート」…などの階層)との2重掲載が認められているのでこの問題はもちろん、編集の上で大きな障害とはなりません。

しかし、話題別階層で地域や文化で分類をするとなるとカテゴリ構造そのものに「世界の中の一つの国/文化であるところの日本」ということを表現しなければなりません。
World/Japanese/ビジネス/団体/商工会議所/
World/Japanese/アート/パフォーミングアート/世界の芸能/
こういうカテゴリパスをどう考えるか。
国内/海外 で、分けてしまえば簡単じゃないか、バカバカしい、と言ってしまうのは簡単です。
dmozは論理的なのか、やせ我慢なのか。
新しくエディタで入ってこられた方が最もとまどうことの一つかもしれません。

ODPエディタ度チェック

yobesukeの私家版潜在的ODPエディタ度チェック。
さあ、今すぐチェックして君もエディタになろう!!

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1. 家にいるのが好きな方だ。
2. どちらかと言えば人付き合いが悪い。
3. お酒はあまり飲まない方だ。
4. 楽天的な方である。
5. 寝不足に強い。
6. 困っている人がいたら放っておけない気の弱さがある。
7. やせ我慢する方だ。
8. 凝り性だ。
9. あきらめがいい方だ。
10. 人間は所詮孤独な存在だと思う。
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Yes と答えた数が
●1~2
ODPエディタとして十分な素質を備えています。今すぐ「エディタになろう」をクリックして必要事項を書き込みましょう。

●3~4
ODPエディタとして広い範囲でアクティブに活躍する素質があります。今すぐ「エディタになろう」をクリックして必要事項を書き込みましょう。

●5~6
ODPエディタになるために生まれてきたような方です。将来シニアエディタも夢ではありません。今すぐ「エディタになろう」をクリックして必要事項を書き込みましょう。

●7以上
あなたにはODPエディタとしての輝かしい未来が待っているでしょう。metaエディタも夢ではないかもしれません。今すぐ「エディタになろう」をクリックして必要事項を書き込みましょう。

●0
悲観することはありません。今すぐ「エディタになろう」をクリックして必要事項を書き込みましょう。そしてこのエディタ度チェックがでたらめであることを証明しましょう。